ムチウチ症の鍼灸治療

ムチウチ症の男性

ムチウチ症に効果を発揮する鍼灸

むちうち症とは、交通事故などが原因となって起こる頚部ねんざのことです。首の骨や関節に強い衝撃が加わり、組織を痛めることで生じます。症状は首の痛みの他に、首筋、背中、肩のこりや痛み、耳鳴り、頭痛、めまい、吐き気、鬱症状など様々な症状が現れることがあります。

また、整体やカイロプラクティック等の不適切な施術が原因になるケースもあり、背骨の矯正などを安易に受けることには注意が必要です。レントゲンなどの検査で異常が見つからない場合、牽引機器で頚部を引っ張る治療法が行われる事も多いですが、これにより症状が改善した例はあまりないというのが現状のようです。

ムチウチ症は、長期にわたって治療を要することが多い疾患でもあります。ムチウチ症を放置すると、さまざまな症状が慢性化し、著しく生活の質を損なう恐れがあるため、早めに治療を行う必要があります。

ムチウチ症の鍼灸治療

鍼灸では、ムチウチの症状に対して次のような治療を行います。

まず、事故などの衝撃によって生じた頚部の気血の滞りを取り除きます。すると血流が良くなり、循環が改善し、頭痛やめまい、頭部の不快感などはその日のうちに楽になることも少なくありません。そして、首やその周辺の筋肉の緊張を解き、再び柔軟性のある状態を取り戻すための治療をします。このことで、首の痛みや肩こりなどの症状が改善し、バランスの崩れた首周りの組織を安定させることができます。

さらに鍼灸では、ムチウチが原因で起こる脳脊髄液減少症などの症状にもアプローチすることができます。これには足や腰など全身のツボを使い、脊柱管に循環する脳脊髄液の分泌・代謝を促して、もとのバランスのとれた身体の状態を回復します。首は非常に重要な場所で、常にしなやかな、良い状態にしていることが大切です。しかし、非常にデリケートな部分でもあるので、直接首を強く揉んだり、整体など矯正することには危険が伴います。

鍼灸では、ツボと経絡という気の通り道にアプローチすることで、直接首を触らずに組織を傷めることなく治療することもできます。WHO(世界保健機構)や国の保険制度でも、鍼灸がムチウチ症の治療に有効であると認められていていますから、ムチウチ症でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

鍼灸はむちうち症に対して劇的な効果が出ることがあります。むちうち症の改善例は多いのですが、印象的な例をご紹介します。

ムチウチ症の施術例

藤沢市にお住いの、30代男性の症例です。

この男性は、5年前に交通事故で首を痛め、それ以来首の痛みと、慢性的な頭痛、めまい、頭に血が上ってイライラするというような症状に悩まされてきました。他人からはなかなか理解されにくいこのような症状は、ご本人にしか分からない辛さがあります。症状が強い時には居ても立ってもいられないほどの不快感に苛まされてきたそうです。

循環障害を解消する刺絡治療

この方を診察したところ、もう古い怪我であるため、首の筋肉などの状態は思ったほど悪くありませんでした。時間の経過とともに傷ついた組織はきちんと修復されているようです。しかし、うなじの部分にうっ血を示す赤い班が出ており、慢性的な循環障害が発生していることが分かりました。

まずは手足のツボを使って全身の気の流れを調整し、その後に、うなじの部分の滞った血液を絞り出す治療を行いました。この治療法は刺絡(しらく)と呼ばれる、伝統鍼灸特有の技術です。慢性的な血液循環の障害を効果的に取り除く方法ですが、皮膚表面をごくわずかに傷つけ、そこから少量の血液を絞り出します。出血の量はほんのわずかですが、こうすることで滞っていた血流が動き始め、ムチウチ症の改善に非常に有効なのです。

瘀血を取り除く

東洋医学では滞った血液の鬱滞を「瘀血(おけつ)」と呼びます。古い怪我による慢性的な痛みや不調では、この瘀血が関与していることが少なくありません。まずは瘀血を取り除き、そののちに、周辺組織のこわばりや悪い癖を取るような治療をします。この患者さんは、はじめの一回の治療で劇的に症状が改善しました。念のためにその後、数回の施術を行いましたが、予後は非常に良好で、何年も続いた苦しみから解放されることができました。この患者さんの治療がうまくいった理由の一つは、もともと体をしっかりと使っている方だったため、筋肉などの組織に強さがあったことも挙げられます。

栄養状態が悪かったり、日頃身体を使ってこなかったような人が事故などで首を痛めると、症例のようにスムーズにはいかないことも多いのですが、鍼灸の即効的な効果を体感した印象的な症例でした。似たような症状にお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

年月の経っているムチウチ症は治りやすい

特に、痛めてから年月の経っているむちうち症は、痛めた組織の損傷自体は自然治癒しており、血流障害と筋肉や周辺組織のこわばりが残っているだけのケースが少なくありません。そのような状態で起こっている症状は、こわばりを弛めて血液循環の滞りを解消することで、比較的容易に治すことができます。

古いムチウチ症の治療は、効果があるかどうか一度施術を受けて頂ければわかると思います。明らかに症状が軽くなり、気分がすっきりとしてくるからです。そのような場合、週に1回ほどの頻度で2~3か月治療を続ければ、長い年月の間についた癖もなくなり、快適な状態を作ることができます。

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