身体を温める
今冬は寒暖の差が大きく、体調が揺さぶられますね。まだ暖かい日も多いですが、長期予報では寒い冬になるんだとか。これから寒さが本格化するのかもしれません。
冬の養生、12月から2月までのセルフケアは「温めること」に尽きます。寒さで筋肉や関節が固まり、血行不良による痛みや不調が増えてくるからです。
「温める」という単純なことで改善する不調は、意外と多いものです。コリや慢性的な痛みは特に、痛み止めや湿布を貼る前に、まずは温めてみるべきでしょう。
そもそも鍼灸の効果は、血行の改善と筋肉を弛めることによるところが多いのですが、温めることである程度、同じような効果を期待できます。
身体を温めれば毛細血管が拡張されて血行が良くなり、固くなっていた筋肉や関節が弛み、内臓の働きが活発になり、免疫力が高まります。さらに身体を修復するたんぱく質である「ヒートショックプロテイン」が作られるなど、健康上有益な変化が、確実に起こります。
血行が良くなれば全身の細胞に酸素や栄養素が行き渡りますし、老廃物が排泄され、胃腸が活発に働き始めます。代謝(=体内の化学反応)は体温が高いほど活発になりますから、生命活動が全般に高まると考えて間違いありません。
細菌やウイルスから身体を守り、ガン細胞が増えないようにしている免疫細胞の働きも、体温が下がれば低下し、体温が1度上がるごとに数倍になりますから、温めることの効果は侮れないのです。
手軽に身体を温める方法
ホッカイロ
腰やおなか、肩や足などを温めるには、貼るタイプの使い捨てカイロがおすすめ。
コリや痛みのある場所を、手軽に温めてセルフケアできます。
直接貼るとやけどの危険があるので、シャツや下着の上から貼れるような場所に向いています。肩や肩甲骨の間、腰、お腹(へそ周りや下腹部)、足など。
特に足の冷えがつらい人は、内くるぶしとかかとの間に小さいカイロを貼っておくと、下半身全体を温めることができます。
湯船に入る
お風呂をシャワーだけで済ませて、湯船に入らない人が少なくないようですが、これはもったいないこと。お風呂はただ、身体を洗うだけが目的ではありません。
お風呂に入ることは体温を上げると同時に、水圧と浮力で身体の奥深くまで血液やリンパ液を動かし、毎日の疲れをとることができる習慣なんです。
体温は一度下がると免疫力(白血球の活性)が40%近くも低下し、体内の酵素活性は半分になってしまいます。毎日の入浴で深部体温を上げることは免疫力を高め、代謝を活発にする効果があります。
入浴の効果を最大にするためには、熱めのお湯に肩まで入ること。しっかり水圧をかけ、身体の深部まで温度を上げるためには41~43度くらいの熱いお湯に、肩までつかる入浴がおすすめです。
ただし、この入浴法はけっこう体力を使うので、心臓が弱い人やのぼせやすい人は無理をせず、楽に入れる温度と深さに加減して下さい。
身体を温めるおすすめ食材 ニンニク
気血を巡らせ身体を温める冬に欠かせない薬味
ニンニクは強壮効果が知られていますが、血流をよくして気や血の滞りを解消してくれる食材。寒さで気血が停滞してきたときにニンニクを食べると、巡りが良くなり、身体が温まって活力が出てきます。
ただしニンニクは、体力を補う食材でななく、気血の動きを活発にして活性化する食材。体力がない人が大量に食べると、お腹を壊したりのぼせてしまうことがあるので注意してください。加熱調理して食べたほうが身体に優しいです。
【はりきゅう丙辰堂便り12月号 2022.12 『特集 身体を温める』『今月のおすすめ食材』より】