気を下げるツボ 大敦(だいとん)
気を下げる
現代人は目や頭ばかり使い、身体を使わない傾向があります。そのような状態が続くと、気が頭にばかり集まって、のぼせたようになります。こうなると首や肩が凝り、夜は深く眠れなくなりますから、疲れも取れず、落ち着かず、嫌な気持ちが続きます。気の観点から「気逆」と呼びますが、頭にばかり気が集まっている状態です。
気はお腹から下に鎮まっているのが正常で、お腹や足もとに気が下りてくると、気持ちもスッと落ち着き、ニュートラルな状態に戻ります。
軽い気逆であれば、目や頭を休めれば治りますが、ひどい場合は、頭を休めると同時に、足腰をしっかり使い、気を下に降ろさなければいけません。歩く、走る、肉体労働、掃除…など、身体をしっかり使い、目を酷使せず頭をぽかんとさせていると、気は頭から降りてきます。
今回ご紹介するツボ『大敦』は、気を下げるツボ。
足の親指の、人差し指側の爪際にあります。爪の側面のラインと底辺のラインが交わった角のところに、ピンポイントでツボをとります。
刺激には先の丸いヘアピンがおすすめ。10秒程しっかりと、ツーンと痛む強さで押しながら、肩の力を抜くようにゆっくりと深呼吸してください。
ちなみにこのツボは「二日酔い」に効くツボでもあるそうです。二日酔いで気持ちが悪いとき、是非試してみて下さいね。
院長のちょこっと裏話
爪の際にあるツボは井穴(せいけつ)と呼ばれ、身体に溜まった邪気を抜く働きがあります。肝臓につながる経絡(肝経)の井穴である『大敦』は、滞っている邪気を抜き、のぼせやイライラを解消して気分をすっきりさせてくれます。
ちなみにツボにも五行があって、大敦は木(もく)の五行です。
木の季節(春)に木の内臓(肝臓)の不調を整えるため、木の経絡(肝経)のの木のツボを使う。鍼灸師がツボを選ぶとき、こんなことを考えています。
【はりきゅう丙辰堂便り3月号 2022.3 『今月のツボ』より 一部編集】