「首」と低血糖症
低血糖症と首のコリ
肩こりで来院した女性の首を診て「歯ぎしりしてるな」と思いました。聞いてみたら案の定で、子供のころからだとのこと。
病院で血糖値が高いから痩せろと言われ、歯科では奥歯を抜くことを勧められているそうです。
甘いものが好きで、たぶん低血糖症なのですが、医者は誰もそれを言わない、というか気が付かないのかもしれません。
異常な首のコリ
低血糖症の人の特徴の一つに、異常な首のコリがあります。
首のコリが酷くて、後側だけじゃなく横側(斜角筋群・胸鎖乳突筋)までもが異常に硬くなっている人は低血糖症のことが多い。そして噛み締めや歯ぎしりの癖があり、顎関節症になっている人が少なからずいます。
女性に「低血糖症かもしれない」と話すと「医者からは血糖値が高いと言われています」とおっしゃいます。そこで、上がりすぎた血糖値が勢いよく下がり、下がりすぎて低血糖状態になることを説明しました。
つまり高血糖の裏には、低血糖状態があるということ。言葉の意味としては反対ですが、同じ身体の状態の異なる側面なのです。
血糖値の乱高下と興奮性ホルモン
夜、寝ている間に低血糖になると、歯ぎしりや食いしばり、腕や肩に力が入ってしまうような状態になります。これは下がりすぎた血糖値を上げるための反応の一部で、血糖上昇作用のあるホルモンに興奮作用があるため、肩から上に力が入ってしまうのです。
これが毎日続いた結果として、顎関節症、頭痛、首のコリや痛み、肩こり、胸郭出口症候群などの、筋緊張をともなう症状が現れます。朝起きると顎が痛い、肩が凝っている、手がしびれている・・などという人は、寝ている間に低血糖を起こしているかもしれません。
進行すると様々な症状が出現
さらに進行すると首や背中のコリが自立神経を圧迫し、動悸やめまい、吐き気や逆流性食道炎などの症状、食欲不振、下痢や便秘などの胃腸障害をも引き起こすことがありますし、鬱などの精神症状が出てくることもあります。実は、こういうタイプの人は少なくないんです。
鍼灸、特に鍼治療は、首の異常な緊張を緩めることにかけて、かなりの効果を期待できます。そして首を弛めると、自立神経症状の多くは改善します。首を緩めて気血の循環を回復することで、当面の痛みや、自律神経の以上による様々な症状を良くすることができるのです。
とはいえ、低血糖症が深刻な場合は、何度首を緩めても時間が経つとまた凝り固まってきます。ちんと治すには、日頃の食習慣を見直す必要があるでしょう。
この女性には、施術で首の過度な緊張を弛めた後、砂糖を摂らないこと、食事、特に夕飯をおかず中心にして糖質を減らす、寝る前にバターなど脂を摂る、などの対策を教えて様子を見ることにしました。
糖質の大量摂取をやめること
この女性に伝えた対策は次のようなものです。
- ご飯パン面などを今までの半分にして、その分肉や卵、野菜などのおかずを増やすこと
- 低血糖症の原因となる砂糖をやめること
- 糖に代わるエネルギー源として、脂を避けずに十分に摂ること
まずは大まかに、この3つのアドバイスをしました。
低血糖症の人の多くは、甘い食べものや飲み物、炭水化物が大好き。その一方、肉や卵など身体を材料となる食べものをあまり多く食べていません。
血糖のコントロールが乱れている状態ですから、糖質制限をしっかりやれば改善するという考え方もありますが、いきなり厳しい制限を課すよりは、まずは食事の内容の比率を変えることを勧めています。
甘いものを控え、おかずをしっかり食べることを心がけるだけでも、糖質摂取量はかなり減らせますから。その結果、血糖値の乱高下、それに伴うホルモンの過剰分泌も防ぐことが出来るでしょう。当然、総合的な栄養状態の改善も、血糖コントロールの改善につながってきます。
実際に、これだけで症状が大幅に軽減したり、治ることがあります。
ただし低血糖症そのものを「完治」させるには時間がかかることが多く、体質に合わせた食事療法・栄養療法を長期間続ける必要があります。それは単に、糖質を控えるだけではうまく行かないことがあるので、注意が必要です。
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