炎症に対する鍼灸治療
炎症に対して鍼灸ができること
多くの病気や症状に炎症が関わっています。例えば膝などの関節が腫れて痛む、喉が腫れて痛む、鼻水が出る、目がかゆい、胃が痛い、ぎっくり腰・・・このような症状はすべて炎症が引き起こすものです。炎症という現象は基本的に、身体が自身を修復したり、ウイルスやアレルゲンなどの異物に対抗するために一時的に現れる治癒反応です。ですから、もし炎症が長期間続き慢性化しているとしたら、何かおかしいと思って間違いありません。
急性炎症の治療
炎症には急性炎症と慢性炎症があります。急性の炎症は、けがやウイルス感染などの明らかな原因があり、それを治したり異物を排除するための正常な反応なので、よほど重度でなければ安静にして様子を見るか、痛みを和らげる処置をしておけば十分です。
鍼灸で急性の炎症に対処するときは、こもった熱を発散させたり、循環を促して腫れをひかせたりする施術を行います。そして治癒のプロセスを促進させます。このような施術は、炎症を止めようとする行為ではなく、むしろ炎症を正常な反応として受け止め、スムーズに治ることを促すという考え方です。
慢性炎症の治療
ところが慢性炎症は、本来一時的な現象であるはずの炎症がいつまでも続きます。たとえば、アレルギー性鼻炎、蓄膿症、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎・・・これらの病気は、炎症が出る部位や症状こそ異なりますが、すべて慢性炎症です。慢性炎症の原因は、現代の医学でのはっきりとわかっていません。アトピーにしても、花粉症にしても、関節リウマチにしても、一時的に症状を押さえる薬はありますが、根本的に治す薬はないようです。慢性炎症は厄介な症状ですが、鍼灸では主に2つの視点からこの症状に対処します。
1、熱を取る
慢性炎症は、熱の性質を持っています。鍼灸は身体の症状を寒熱に分類し、寒の症状、熱の症状、それそれに対処法を持っています。炎症は熱の症状で、余分な熱が身体にこもると、症状が悪化します。たとえば鼻炎は、鼻の粘膜の部分に熱がこもった症状です。鼻炎の場合、手足にある関連した経絡のツボを刺激して、こもった熱を疎通し、症状を緩和することができます。
2、陰を補う
鍼灸が行うもう一つの対処法は、『陰を補う』というものです。鍼灸では身体を、陰と陽の二つの側面から分析しますが、熱性のものは陽、寒性のものは陰、慢性炎症は熱性の症状が治まらなくなっているわけですから、相対的に寒性の『陰』が弱っていると考えます。そして、弱っているところを補う治療を継続することで身体のバランスを整え、炎症を生じない体質を作っていきます。
身体の中で陰といえば、血液や内臓を示します。循環を改善するだけでなく、血液の成分を充実させ、それを生みだしている内臓を強化する。こういったことをじっくりと行うことで、陰が強くなります。
生活習慣と炎症
このように、炎症は一時的なもの(急性炎症)であれば身体の正常な治癒反応とみなしますが、いつまでも続く慢性炎症は、体質的な問題、東洋医学的に言えば陰陽のバランスの乱れから生じます。陰陽は、どちらが強くても弱くてもバランスが崩れます。陽である『熱』が強くなりすぎた時、身体の陰に相当する部分を強める治療をし、それにふさわしい生活習慣に改めることで、慢性炎症を治していきます。慢性炎症とはとても厄介なもので、急性炎症のように数回の治療で治るようなことはまずありません。いままでの病歴や生活習慣なども加味し、鍼灸で陰陽のバランスを整えながら炎症を生じない体づくりが必要となってきます。
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