胃腸虚弱の鍼灸治療と生活上の注意点

お腹の痛い女性

胃腸虚弱と鍼灸

伝統的鍼灸では胃の働きを非常に重要視しています。胃の気と呼ばれる気が充実している状態を、健康のバロメーターとして常に確認するのもそのためです。生命力を表す気という概念は、先天の気と、後天の気に分けられます。先天の気とは、生まれ持った生命力、素質のことで、後天の気は、生後に飲食物から摂取する自然界の栄養素で、胃腸の働きを通して体内に取り込まれます。つまり普段の食事が重要だということ。この後天の気を摂り込むためには、胃にしっかりと働いてもらわなくてはなりません。胃の弱さは体質的な弱さにつながってくる理由もわかると思います。

鍼灸には胃腸の働きを高め、正常化するための治療法がいくつも存在します。鍼灸でツボや、気の通り道である経絡を刺激することで、胃腸の働きを高めることがでます。例えば、足三里、中脘(チュウカン)などのツボは、適切に刺激すると胃腸を整えて働きを強くする効果が高いです。鍼灸を受けている人の多くが実感することで、当院の患者さんには、治療の後はお腹がすく!ご飯がおいしい!とおっしゃる方も多いです。

胃腸の弱さは多くの場合、体質として定着してしまっています。ですから、鍼灸治療で一時的に胃腸機能が高まっても、一度や二度の施術では元に戻ってしまうことが多いです。何かの理由で突発的に胃腸に不調が出た場合は別ですが、長年続いている胃腸虚弱を治すためには、ある程度の期間通院して体質改善を行っていく必要があります。

食生活の改善

胃腸虚弱は慢性的な栄養不足が原因となっていることが本当に多いです。これは大人になってからというより、お母さんのお腹の中にいた頃の栄養状態、授乳中の栄養状態、そして生育期間の栄養状態に左右されています。発育期間に栄養不足があると、胃腸や肝臓が十分に発達せず、虚弱な体質傾向が定着してしまいます。

また、成長期に問題がなくても、極端なダイエットや絶食、菜食などで長期にわたって重度の栄養不足状態が続くと、タンパク質をはじめとした重要栄養素の消化吸収能力が落ちてしまいます。消化力が落ちるため肉や脂ものが苦手になり、食事が炭水化物中心になり、甘いものを欲するようになるという傾向があります。

このように、胃腸虚弱の原因はとても根深いことが多いので、改善にもそれなりの時間と努力が必要です。鍼灸で働きに活を入れながら、適切な栄養摂取を心がけることで、徐々に胃の働きが高まり、なんでも食べられる身体に変わってきます。

リラックスした状態で食べる

また、治療や食べるものだけでなく、食べ方も大切になってきます。胃腸の働きを司る自律神経=副交感神経は、リラックスした状態で良く働きます。同じような胃腸の強さの方でも、リラックスした状態と落ち着かない状態では消化能力に大きな違いが出てしまうのです。

胃腸の弱さの自覚がある方は、食事の際以下の点に気をつけてください。

  • よく噛んで食べる
  • リラックスしてゆっくり食べる
  • 食べた後は少し休む

このような、消化を促進する食べ方をすることで、弱い消化力を助けることができます。消化が良くなり栄養状態が高まれば、そもそもの胃腸の強さもt構ってきますから、案外大切なことです。また、食事の内容や食べ合わせ、食べる時間帯の問題など、体質によって異なる注意事項があるので、治療の際に詳しくご説明しています。