十干(東洋の占い)

生まれた日の五行
十干十二支で表記される暦で自分の生まれた日を調べると、生まれた日の五行がわかります。
昔の暦は、甲子、乙丑、丙寅・・のように、十干と十二支の組み合わせで書かれているのですが、誕生日の十干を日主(にっしゅ)と呼び、本人の性質を示すと考えられています。
十干の性質はそれぞれ自然物に例えられ、甲(きのえ)は大きな木で、真っすぐ上に伸びるような性質。乙(きのと)は草のようなもので、弱く柔らかいもの。
丙(ひのえ)は太陽であり、天に高くあって万物を照らすもの。丁(ひのと)は蝋燭の火のように、暗い闇のなかで身近にあるものを穏やかに照らす火です。
戊(つちのえ)は山のように不動の安定性を持ち、己(つちのと)は土が細かくなり、柔らかくなり、万物が生きる土壌となります。
庚(かのえ)は鉄や鋼のような強さと鋭さを持ち、辛(かのと)は磨かれた金属や宝石のような美しさと繊細さがあります。
壬(みずのえ)は、海や大河であり、静かな時は美しく輝きますが、荒れるとすべてを飲み込む勢いがあり、癸(みずのと)は雨や霧に例えられ、万物を潤し、洗い清める存在です。
十干はそれぞれ陰陽と五行があります。
甲(きのえ)と乙(きのと)
甲と乙は木の五行で、甲と乙の日に生まれた人は、心身に木の性質を持ちます。
木は五行の中で唯一、命のあるもの。春から夏にかけて草木がグングン伸びるように、成長する性質を持っています。
木の性質を持った人は、植物のように穏やかで優しい性格をしていますが、陰陽の違いでイメージが異なります。
甲は陽の木で、大きな木に例えられます。
大樹が時間をかけて大きく成長していくように、成長するにつれて強さと安定感を持つようになりますが、挫折に弱い傾向があります。体系的には背の高い人が多いです。
乙は陰の木で、草やツル性の植物に例えられ、甲のような大きな木ではありません。
身体的にも細くしなやかな傾向がありますが、逆境に強く、環境の変化に柔軟に適応できます。
また、甲乙ともに強さがあれば火を生じ、草木に美しい花を咲かせます。
丙(ひのえ)と丁(ひのと)
丙と丁は火の五行を持つ十干で、丙が陽の火、丁は陰の火です。丙は太陽に例えられ、世界を明るく照らす強い光。丁は蠟燭の火に例えられ、身近な世界を優しく照らします。
火の五行は「炎上」と言われ、燃え上がるような性質を持ちます。熱を持ち、光を放ち、周囲を温めて照らすような存在です。
火の五行が強い人は身体に熱を持ちやすく、炎症など熱性の病気にかかりやすい傾向があります。顔が三角で、細身の人が多いです。性格的にも熱を帯びやすく、情熱的。火は光を発するため性格は明るく、目立つ存在になります。
丙の人は太陽のような強い明るさを持ち、スター性があります。
一方丁は落ち着いた光で、身近な人を優しく照らし、温めてくれるような性質です。
また、火は情報や知識を象徴します。火の五行が強い人や火の五行から助けられる人は知識や知恵を好み、言語や情報を巧みに使いこなします。
戊(つちのえ)と己(つちのと)
戊と己は土の五行で、戊は陽の土、己は陰の土。
戊は山に例えられ、強く大きく硬い土で、他に影響されない強さと安定感があります。
己は畑の土に例えられ、弱く柔らかい土で、多くの物を受け入れて命を育む源となります。
土の五行が強い人は温和な性格傾向。保守的で、少し頑固なところがあります。忍耐力があるため長期戦に強く、コツコツと努力することで人から信頼されます。
生まれた日が戊の人は泰然とした雰囲気を持ち、度量が大きく、いるだけで安心感があるような人です。臨機応変さや柔軟さには欠け、頑固ですが、考えや態度が一貫しているために人から信用されます。
己生まれの人は柔和で温和な気質を持ち、自分の考えや主張を表に出しません。対立を好まず、調和を重んじる傾向があります。一見すると弱いですが、逆境には強く、一つのことを粘り強く続けることができます。
土は五行の中央に位置するもので、大地のように生命を支えています。土が好きな五行の人は農作業をしたり、山や土や自然に触れることで運気を高めることができます。
庚(かのえ)と辛(かのと)
庚と辛は金の五行を持つ十干で、庚は陽、辛は陰です。金は殺気と鋭さを持ち、五行の中で最も強いものとされています。
金は物質やエネルギーが集まり結晶化したもの。高密度のエネルギーと鋭さを持ち、強い力で周囲に変化をもたらします。
金の五行が強い人は心身共にタフな傾向。筋肉質な人が多いです。目は細く肌は色白、頬骨が目立つ顔立ちをしています。
金には熱を冷ます性質があるので、心身共に熱を持ちにくく、クールで理性的な性格。真面目な人が多いのですが、芯の強さと鋭さを持っています。
金の人の印象は陰陽の違いでだいぶ異なります。
庚の人は金の性質がストレートに出て、強さと威厳があります。
常に冷静で意志が強く、決断力があり、情に流されません。
一方、辛は磨かれた金であり、宝石のようなもの。
繊細で、傷つけられることを嫌います。気品があり優美な雰囲気を持つと同時に、性格にクールな鋭さを持っています。
壬(みずのえ)と癸(みずのと)
壬と癸は水の十干で、壬は陽の水、癸は陰の水です。
水は流動的なもので、万物を潤しながら循環しています。道教では理想の生き方を水の性質に習うことだと教えています。(上善は水のごとし)水はエネルギーを集め、知恵や知性の象徴です。またその流動性から、お金や経済の意味もあります。
水の五行を持つ人は、知恵があり、環境への親和性が高く、人と人をつなげ、必要なものや情報を運び、周囲に潤いを与えます。
顔は丸い顔、壬は色白、癸は色黒です。水が強ければ生命力が強くて根気があります。脳は水の性質を持つため、頭がいい。水が弱いとずる賢い人になると言われています。
陽水である壬は大河や海に例えられ、大きなエネルギーを持ちます。
強さと勢いを持ち、太陽である丙に照らされてキラキラと輝くことから、美しさも併せ持ちます。
陰水の癸は雨や霧に例えられます。
繊細で優しく、万物に潤いと命を与えますが、自分自身は自在に形を変えて主張することがありません。
すべてのものには水が含まれ、土が粘土になるように、バラバラの物をまとめ、つなぐ役割と持っています。
【はりきゅう丙辰堂便り2~7月号 2022.2~7 『東洋の占い』