膝の内側の痛みの改善例
膝痛の治療
最近来院された、膝痛の患者さんの症例です。
50代・女性。やせ形で筋肉が少ない。子供相手の仕事をしているため、子供の高さや動きに合わせ急な動きをしたり、しゃがんだり座ったりすることが多い。
1月に入って急に右の膝が痛くなり、整形外科を受診したところ「軟骨に傷がついている」と言われたそうです。病院で処方された湿布と痛み止めでは改善しなかったため、発症して2週間後に来院しました。
膝の内側が腫れて痛い
痛みが出ているのは膝の内側、お皿の少し内側が赤く腫れています。触診した感じでは、膝関節の軟骨というより、もっと表層の靭帯か腱を痛めているようでした。
このような場合、基本は膝を使わないようにして、腫れと痛みが引くまで休む必要がありますが、実際に膝を使わない生活は難しいですし、どうしても仕事を休めないということだったので、鍼灸でできるだけの治療をしてみようということになりました。
初診の時、膝は明らかに炎症を起こしていましたから、初回は炎症を鎮めるための鍼と灸をしました。炎症を鎮める鍼灸治療は、炎症部位とその周辺の循環を高め、腫れて局所的に高まっている圧力を逃がしてやります。それと同時に、太ももの筋肉を弛めて、膝にかかるテンションを下げるための施術を行いました。
念のため腰や股関節を調べたところ、股関節が非常に硬くなっていました。これは今回の膝痛に関連があると判断し、施術範囲を広げて股関節の動きを正常化しました。腰や股関節は膝の動きと連動するため、そちらが原因になっていることも少なくないのです。
1回の施術で痛みが半減
3日後にもう一度来院したとき、痛みの自覚症状は10→5と軽減しており、膝の腫れもだいぶ引いています。2週間改善しなかった痛みが1回の施術で半減したので驚いていました。ただし、まだ痛みも炎症も残っていたので、この日も前回とほぼ同じ施術を行いました。
さらに3日後に来院した時には、痛みはほとんどなくなっていました。膝の炎症も治まったので、少し様子を見ることにしました。
そして、先日、1か月ぶりに別の症状で来院しましたが、そのまま膝の痛みはなくなったとのことでした。
膝痛には鍼灸が効果的
もちろん、だれもがこうスムーズに治るわけではありません。膝の痛みと言っても、その状態は様々だからです。でも、このような炎症を伴う膝の痛みは、比較的鍼灸で解消しやすい症状だと感じています。多くは5~10回程度の施術で痛みが無くなり、予後も良好です。
整形外科で「骨や軟骨が変形しているからしょうがない」などと言われている方も多いのですが、多少変形していても速やかに炎症を鎮めること、膝周囲の筋肉や股関節の状態を良くすることで、生活に支障が無いレベルまで改善することができることが多いです。逆に、炎症が続いてしまうと、もっと変形してしまうので注意が必要です。
筋肉を付けるためには
この方の場合は筋肉が少ないので、膝の関節や靭帯にかかる負担が大きいのだと思います。根本的には筋肉を増やし、関節や靭帯の組織そのものを強化することで、日常の負荷に耐えられるようにしていく必要があります。
筋肉を付ける必要があると言われれば運動を始める人が多いのですが、鍛えるつもりで始めた運動で、かえって痛めてしまうことが少なくありません。ですから、運動するよりもまず「食事のタンパク質摂取を増やすこと」が大事だと伝えました。