坐骨神経痛の鍼灸治療

腰痛の男性1

坐骨神経痛に効果を発揮する鍼灸

坐骨神経痛は何らかの原因で、腰から足へと伝わる坐骨神経を圧迫されることが原因となり起こります。腰から足にかけて起こる痛みや痺れが特徴で、坐骨神経痛の約8割は腰椎椎間板ヘルニアが原因だとも言われています。椎間板とは背骨と背骨の間にあるクッションですが、これが潰れたり本来の位置からズレることで神経を圧迫してしまうのです。

ただ、鍼灸臨床から感じる傾向として、椎間板ヘルニアではなく、お尻の奥にある筋肉の強ばりが、坐骨神経痛の原因になっている場合が少なからずあります。なぜなら整形外科でヘルニアが原因だとの診断を受けた患者さんの多くが、お尻や腰回りの筋肉の緊張を緩めることで、症状が出なくなるからです。

坐骨神経痛の症状

ぎっくり腰の痛み

坐骨神経痛は、重い荷物を持ち上げるとか、ちょっとした動作がきっかけとなり発生することが多いですが、自覚できるきっかけが何もないという方もいらっしゃいます。突然腰に強い痛みを覚え、おしり、太もも、ふくらはぎにまで痛みが放散し、動けなくなる。このような症状の多くは坐骨神経痛です。自然に治ることもありますが、重症化や再発を予防するためには適切な治療が必要となります。

坐骨神経痛の原因として、多くの場合、日常生活で蓄積した疲労や、小さなダメージの蓄積が考えられます。長年かけて腰を痛めてきた結果ですから、治療や休養で痛みが解消した後も、骨や筋肉の状態を正常化するためにの適切なケアが必要となります。

梨状筋が強ばって起こる坐骨神経痛の鍼灸治療

腰痛の女性

坐骨神経痛の原因は椎間板のヘルニアの他に、臀部(おしり)の深い部分にある筋肉の強ばりであることも少なくありません。お尻の奥にある梨状筋(りじょうきん)などの筋肉が硬くなり、坐骨神経を圧迫することで、痛みやしびれを生じています。このような場合、お尻の筋肉を鍼で弛めると、足のしびれや痛みなどの、坐骨神経痛特有の症状がなくなります。じつは鍼灸臨床で出会う患者さんの多くがそのような状態で、数回の治療で症状が大幅に軽減することは少なくありません。

お尻の筋肉が強ばって生じる坐骨神経痛の症状は、専門的には梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)と呼ばれます。梨状筋症候群の場合、背骨に問題はなく、お尻の深いところにある筋肉(梨状筋など)が強ばって坐骨神経を圧迫することで症状が起こっています。このような坐骨神経痛であれば、鍼灸でお尻の深いところにある筋肉の緊張を緩めると、短期間で改善します。治療には3寸(9㎝)以上の長い鍼を使いこなす必要があり、高い技術を必要としますから、本格的な鍼灸治療を実践している鍼灸院を受診する必要があります。

ヘルニアによっておこる坐骨神経痛の鍼灸治療

椎間板ヘルニアの模型

整形外科的には約8割の坐骨神経痛が腰椎椎間板ヘルニアによるものだとされています。これは腰の椎間板(骨の間に挟まっているクッション)がつぶれたり破れたりした結果、神経を圧迫して起こる神経痛です。鍼灸治療で傷ついた椎間板を治すことは出来ませんが、椎間板ヘルニアそのものは長期間良い状態を保つことで自然治癒することが知られています。

椎間板ヘルニアを診断された患者さんには、まず腰やお尻の筋肉の緊張を緩めて正常な筋肉の動きを引き出します。そうすることで腰の骨にかかる負担が軽減され、同時に滞っていた血流も良くなりますから、痛んでいた椎間板や神経などの組織に回復する余力が出てきます。お身体の状態や生活状況にもよりますが、定期的な治療で良い状態を保つことができると、早ければ3か月、時間がかかっても半年~1年ほどで痛みが出なくなり、再発も防げる状態に整ってきます。

痛みやしびれなどの症状がなくなり、触診しても筋肉の固さや弱さがなくなってきたら治療を中止しても大丈夫です。腰の骨や椎間板を支えているのは筋肉と靭帯などの組織ですから、それらを強くするために軽い運動や栄養の充実なども指導しています。(※重度のヘルニアでは手術が必要となり、鍼灸では対応できないこともあります)

当院での症例

当院での坐骨神経痛に対する施術例をご紹介します。

藤沢市湘南台にお住いの40代男性

この男性は身長が180センチと長身なのですが、仕事で重たいものを運ぶことが多く、身長と相まって腰に負担のかかる生活をしています。5年ほど前から腰の痛みと足の痺れを感じ始めて、だんだん悪化してきたので整形外科を受診したところ、坐骨神経痛と診断されました。手術するほどではないということで、病院で牽引や電気、マッサージなどを治療を受けましたが、一向に改善しなかったため、当院を受診しました。

診察すると腰の血色が悪く黒ずんでおり、筋肉がカチカチに硬直しています。血色の悪さや黒ずんだ肌色は、常日頃から腰に疲労がたまり、長期間にわたって血流が悪い状態が続いていることを示しています。鍼とお灸を使って腰の緊張を緩め、血流を促す治療を行いました。初回の治療ではっきりと効果を感じたため、5回ほど週に1回のペースで治療を続けました。

5回目には今まで感じていた痛みや痺れが無くなり、日頃感じていた腰の重さも感じなくなりました。MRIの画像診断でヘルニアと診断されていたので、このまま良い状態を半年~1年くらいは維持する必要があると伝え、月に1回程度のメンテナンスをつづけていますが、その後は症状が出なくなり、普段の腰の調子も良好だということです。

まとめ

坐骨神経痛の多くは、椎間板ヘルニアやお尻の深い筋肉が強ばることが原因で起こる症状です。多くのケースは鍼灸で腰を整えることで改善します。(※重度のヘルニアや腰部に腫瘍ができて神経を圧迫するケースもあり、そのような場合は外科的な処置を必要とします)

坐骨神経痛に対する鍼灸治療は、基本的に、腰を支える筋肉や組織の血液循環を良くし、筋肉の緊張を緩めることで効果を発揮します。また、太ももやふくらはぎなどの関連した部位にあるツボを刺激することで、直接患部を刺激することなく治療することもあります。腰以外の不調が原因となり、結果的に腰に負担がかかっていることもあるためですが、全身を診ていく当院の鍼灸では、そのような不調も考慮に入れて治療しています。

腰椎のヘルニアが原因の場合、回復にはある程度の時間がかかりますが、ヘルニアが起きている周囲の筋肉の働きを正常化することで、回復を促すことができます。梨状筋症候群など、筋肉の緊張が直接的な神経圧迫の原因となっている場合ほど即効性が期待でき、緊張を緩めて神経圧迫がとかれると痛みやしびれが解消することも少なくありません。

坐骨神経痛でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。