三陰交 女性におすすめの足のツボ

- update更新日 : 2019年12月06日
folderツボ
三陰交の取り方

三陰交

三陰交(さんいんこう)というツボがあります。足の内側、内くるぶしから指三本分上にあるります。これは前の記事でご紹介した足三里と並んで、万能的に使える重要なツボです。

胃に効くツボ 足三里

鍼灸臨床では婦人科系、血液関係の病、そして胃腸機能を高める目的で頻繁に使われているツボなんです。三陰交は安全性も高く、いろいろな場面で使えて効果も高いと感じています。知っておいて損のない、特に女性のセルフケアに役立つツボです。

三陰交の効果・効能

鍼灸業界で知られる、一般的な三陰交の効果・効能を書き出してみます。

  • 胃腸を強くする
  • 骨盤内の血流を良くする
  • 子宮や卵巣の機能を高める
  • 生理痛や生理不順の改善
  • 不妊症の改善
  • 安産
  • 陣痛を促す
  • 逆子を治す
  • 更年期障害の改善
  • 冷えの改善
  • むくみの解消
  • 貧血を治す
  • お血を治す
  • 下痢や腹痛を治す

いろいろありますね。もちろん、、三陰交でこれらがすべて治るわけじゃありません。でも、自然治癒が働きやすい方向に身体を調整する、内側から活性化するように刺激する、そのような効果があると理解してもらえれば、間違いないでしょう。

でも、どうしてこんなに万能なのか、その理由を説明してみます。

三つの内臓に繋がるツボ

三陰交は『三つの陰が交わる』と書きます。ここで言う陰とは、内臓のことです。『経絡』と呼ばれる気の通り道がありますが、これは内臓とつながっています。三陰交は肝臓、腎臓、脾臓につながる三つの経絡が交わるポイントなんです。だから三陰交を押さえると、肝、腎、脾をすべて活性化することができます。

東洋医学では、内臓を中心に身体を見ていますが、ここでいう内臓とは、五臓六腑のことを言っています。五臓六腑とは、肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓の五つと、胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦の六つ。

これらはもちろん全部大事なのですが、中でも特に鍼灸の臨床で重要視されているのが、脾と胃、腎臓、肝臓。三陰交は、これらすべてを活性化させるツボなんです。

脾・胃 肝 腎

脾臓(ひぞう)

脾臓の働きは、現代医学的には膵臓に近いです。消化器系の働きや、栄養物の全身への運搬を司る臓器だとされています。つまり脾臓は、食べ物の栄養を体内に取り入れる働き全般を担当している内臓なんです。

また、脾臓は胃と合わせて、脾胃(ひい)と呼ばれることもあります。脾臓と胃は別の内臓ですが、表裏関係になって一緒に働いています。

ですから、どちらが弱くてもいけないし、どちらかが弱ると、もう一方にも問題が生じます。脾胃は気や血液を製造し、全身に送り出している内臓として、非常に重要な内臓なのです。

肝臓

肝臓は代謝や解毒をつかさどる内臓ですが、東洋医学では血液、神経、筋肉の働きも肝臓の担当としています。肝臓が弱ると頭が働かなくなり、決断力が弱り、ストレスに弱く、イライラしたり精神的に不安定になりやすいです。

また、肝臓は血液を蓄える臓器でもありますから、肝臓が弱る、肝臓が疲れる、といった状態は、血が少なくなった状態だということもできます。東洋医学ではこの状態を血虚(けっきょ)と呼びますが、特に女性に多い症状で、現代的には貧血に近い状態です。

腎臓

腎臓は水分調整と血液のろ過をするところ。腎臓は排泄を担当するので、解毒器官でもありますね。

東洋医学ではこれに加えて、腎臓に『生まれ持った生命力が宿る』と考えています。腎臓に宿る生命力は『腎気』(じんき)とも呼ばれますが、腎気が消耗すると生命力が弱って、老化が進行してしまう。

腎臓は生殖能力とも関係が深く、腎気が弱ると生殖機能も弱くなります。ですから女性の生理不順や不妊、男性機能の低下や精子の数が減るなどの問題は、腎臓の機能低下が関わっているんです。

このように腎臓は『生命の根本』とも言っていい重要な内臓なんです。

伝統鍼灸の要点

私が習った伝統的な鍼灸治療では、脾胃、肝臓、腎臓のどこが弱っているのか判断して、弱いところの働きを鍼やお灸で補うことを基本としていました。もちろん他の内臓も考慮しますが、脾胃、肝臓、腎臓が特に重要。内臓に対する鍼灸治療は、今もその基本通りに行っています。

脾胃と肝臓、腎臓は生活の中で疲れやすいところですが、逆にここを押さえれば他の内臓も健康に保つことができる。三陰交を使うと、これらの重要臓器の働きを一挙に高めることができます。

脾と胃は裏表の関係なので、三陰交で胃の働きも高まります。つまり三陰交は、三つの陰(=肝、腎、脾)と胃の働きを、いっぺんに高めることができるツボなんですね。

三陰交の取り方

では、三陰交の場所、簡単な取りかたをご紹介します。三陰交は足の内側、うちくるぶしの少し上の骨の際(きわ)にあります。

内くるぶしから指3本分上に凹んだところ、あるいは、深く押すとずーんと響くところがあるはず。そこが三陰交です。

 

女性でひどく疲れている人なんかは、三陰交がすり鉢状に凹んでいたりする。健康なら程よい張りと弾力がありますが、疲れてくると力が足りなくなって、凹んでくるんです。

こういうのを『虚のツボ』と呼びますが、気が足りない、力が足りない、血流が悪い、などのしるし。優しく押したり温めたりして、補ってあげるといいでしょう。

三陰交の使い方

三陰交は比較的安全なツボなので、極端に強い刺激をしなければ素人が使っても大丈夫。一般的にはお灸が向いていると言われています。もちろん、指で押してもOK。(※ツボ押棒などを使うときは適当に加減してください。痣ができるほど強い刺激はお勧めできません。)

押すときはぐりぐりと横に切ってはいけません。親指で垂直に、じぃわ~~っと圧力をかけてください。痛気持ちいいくらいのところまで押し込んだら、そこでしばらくキープ。数秒置いて、ゆーっくり圧力を抜いて、離します。お風呂上りなんかにこれを何度か繰り返せば、ちょうどいいツボ刺激になるでしょう。

三陰交は、お灸に適したツボだと言われています。押すのもけっこう大変なので、台座灸などで温めるのもおすすめ。お灸をすえる場所は、軽く指を滑らせて凹んでいるところがベストです。あるいは、深く押し込むと奥まで響くところを選びます。三陰交のお灸は、女性の冷えやむくみ、生理痛や生理不順などに効果的です。お灸の熱が低下した機能を補ってくれます。

三陰交のお灸は、不妊治療や、妊婦さんの安産のためにもよく使われています。刺激の強さやお灸の回数に決まりはありませんが、気持ちいい刺激量を目安にしてくださいね。

ご予約・お問い合わせはこちらから


尚、「今日すぐみてほしい」といったお急ぎのご要望は、
お電話でのお問い合わせがおすすめです。

タップして電話する

「料金など、来院する前に詳しく知りたい」という方はこちら

料金ページを見る