耳がこもる
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耳がこもる
耳の閉塞感を訴えて来院した30代の女性、耳鼻科では鼓膜に血腫ができていると診断されていましたが、血腫が自然に消えた後も閉そく感が続いていました。
子どもの頃からアレルギー性の鼻炎があるとのこと。顔からおでこにかけて赤みがあり、熱がこもっている様子でした。鼻腔から耳管にかけて、アレルギーによる炎症性のむくみがあると判断し、鼻腔周囲にこもった熱を抜く治療をしました。
鼻腔、副鼻腔などにこもった熱は、周囲の循環を促すことで抜けます。首の側面、後頭部から首筋にかけての筋肉の緊張を緩め、顔の攅竹、四白などに鍼を打ち、同時に全身的に気血を整える治療をして、閉そく感はなくなりました。
慢性的な鼻炎を治すには
こういった症状は、一時的に改善できても再発しやすいものですが、熱を抜くことで炎症が鎮まり、軽度であれば1回~数回の施術で治ってしまいます。
アレルギーなどで炎症が慢性化している場合は、アレルギーを治すことが根本的な治療になるのですが、風邪等で一時的に炎症が起こっていた場合は、比較的簡単に治ります。
耳の下、首の側面にある斜角筋、後頭部から首にかけての後頭下筋群に強い緊張があると、鼻腔や目の奥に熱がこもりやすいので、それを弛めて血液やリンパ液の循環を促進すことが、熱を抜く治療になります。
鼻炎を治すセフルケア
慢性的な炎症がある場合は、このような治療を繰り返しているうちに、徐々に炎症が鎮まってきます。ただ、食事や生活習慣に問題がある場合は、それを改善することが必要なことも。例えば、砂糖を日常的に摂取していると、鼻腔の炎症は治りにくいものです。
Bスポット療法という、鼻腔をこすって刺激する治療法があり、耳鼻科で行われているほか、一部の鍼灸院でも行われています。鼻腔奥の粘膜にこするような刺激を繰り返すと、慢性炎症に効果が高いのですが、この治療法はかなり痛いんです。
やや即効性に欠けますが、鼻うがいにも同じような効果が期待できるので、当院では鼻炎が慢性かいしている方には、セフルケアとして「鼻うがい」を勧めています。
鼻炎があると鼻が詰まるので口呼吸になりやすいのですが、逆に、口呼吸をしていると鼻腔の炎症は治りにくいもの。鼻うがいを習慣にすると同時に、鼻呼吸を心掛け、夜寝るときには口にテープを貼り、鼻に鼻腔拡張テープを貼って鼻呼吸を維持できるようにすると良いでしょう。
鍼灸の治療と合わせて、このようなセフルケアを続けていると、長年続いた鼻炎や副鼻腔炎も改善してきます。