合谷 花粉症や歯の痛みに効果がある手のツボ
顔面の症状に合谷
合谷(ごうこく)というツボを紹介します。
合谷は、手の人差し指と親指の間にあるツボです。このツボも、以前紹介した足三里や三陰交と並んで、広範囲に使える万能的なツボなので、覚えておくと何かと便利。
合谷は、花粉症、鼻炎、歯の痛み、歯茎の腫れ、肩こり、便秘などの胃腸症状に対して頻繁に使われます。
昔から『面口は合谷』と言われ、顔や口の症状全般に効果があるとされてきました。また、大腸経という経絡(けいらく)の上にあり、大腸の働きを活発にしてくれる主要なツボでもあるんです。(※経絡は気の通り道のこと)
大腸の働きを整える作用もあるので、例えば便秘や下痢の治療にも使えます。また、さらに肺やのど、気管支などの呼吸器の症状にも有効。なぜかというと、東洋医学で肺と大腸は表裏関係にあるからです。
五臓の一つである肺に対応しているのが大腸であり、大腸のツボである合谷は、肺をの病である風邪の治療穴としても頻繁に使われています。
合谷の働きと効果
合谷は基本的に、気血の流れを良くするツボです。上半身、特に顔から腕にかけて発生した気血の滞りを解消し、血液循環や気の流れをよくしてくれます。
合谷が担当するエリアは熱がこもることが多いのですが、合谷への刺激で流れが良くなると、こもった熱が発散され、発熱や炎症などを改善することができます。
花粉症と合谷
例えば、花粉症で目や鼻がむずむずする症状、これは顔面に熱がこもっています。これは炎症によって発生した熱がこもった状態ですが、このとき、こもった熱をうまく流して、逃がしてやると症状は軽くなります。
実際に、鍼灸での花粉症治療に合谷を使うことが多いですが、症状の軽減に程度の効果が出ています。(※普通、これだけで花粉症が治ったりはしませんが)
歯の痛みと合谷
また合谷は、歯痛を止めるツボとしても有名です。実際、歯科医院でも使われることがあるそうです。
虫歯や歯周病などで歯が痛むとき、気血の流れをよくして炎症によって発生した熱を逃がします。これは、歯医者さんで虫歯の治療を受けた後の、痛みの改善にも使えます。
もちろん、合谷で虫歯や歯周病が治るわけじゃありません。ツボを使った対症療法であり、ある種の『その場しのぎ』と思ってください。でも、薬を使わずに対症療法ができるのは、ツボ療法の大きなメリットだと思います。また、炎症が速やかに引けば、治り方も良好になるはずです。
肩コリと合谷
また合谷は、肩コリにも効きます。特に肩の前面、鎖骨の周囲が凝っているときは、合谷を押さえたりお灸をすると楽になります。
多くの場合肩こりは、肩の真上かちょっと後ろくらいのところが気になるものですが、触ってみると鎖骨の周囲も同時に凝っているもの。鎖骨の周囲をこすったりさすったりすると、肩の後ろのほうの筋肉にも遊びができ、肩こりが全体に楽になるという治療ポイントでもあるんです。
鎖骨周りは使い捨てカイロや蒸しタオルなで直接温めてもいいでしょう。この、鎖骨周りの筋肉のコリを少し離れたところから緩めるのが合谷。
鍼灸治療をしている実感としては、凝っている部分と同時に、ちょっと離れた場所にある関連したツボを刺激しておくと効きやすく、しかも効果が長持ちしますね。
合谷の取り方
では、合谷の取り方です。合谷は人差し指と親指の間、人差し指側の、中手骨という骨の際にあります。
ここです。
逆の手の親指で、小指側向けて、骨に沿ってグッと押してみてください。
右手の親指で左手の合谷を押す場合は、右の親指を合谷に当てて、右手で左手を包み込むように押さえると安定します。この部分親指で、垂直に押し込んでみましょう。
指を立てて、グーッと押さえると響くところがあります。多少強く押しても大丈夫ですが、あまりぐりぐりと横に切るような動きはいけません。筋を痛めてしまいます。
合谷は普通、イラストのように、中手骨の真ん中に取ります。でも人によってはもっと指先側、あるいは手首側にツボが出ていることもありますね。ツボは動くんです。その辺を探って、一番響くところを探してみてください。響くというのは、ずーんと奥に響くような感覚です。そこが、あなたの合谷。
ツボの位置は決まっていない
ツボは、決まった位置にあるわけではなく、個人差があります。また、よく観察していると日によって変わったり、だんだん移動してきたりもする。こういう自分の身体観察は、結構楽しいですよ。
合谷は、お灸にも適したツボです。普通、炎症など熱性の症状へのお灸は控えるのですが、例えば、鼻炎に合谷はありなんです。
イメージとしては、鼻にこもった熱を合谷にお灸することで『引っ張り降ろす』ような感じ。こういうのを鍼灸では『熱を手に引く』と言っています。
合谷は気血の流れをよくしてくれるので、手が冷たい人なんかにもお勧めです。人は交感神経過剰の緊張状態だと手や足先が冷たくなるのですが、逆に、手や足を温めると副交感神経優位のリラックスモードに誘導することが出来ます。
これを利用して、合谷を押したりお灸したりして、ストレスを解消することもできる。あくまで一時的な対処法ではありますが、気軽なセルフケアとして覚えておくと便利ですよ。
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