3つのタイプの肩こり

肩こりの女性

鍼灸院には肩こりで来院する方が多いですが、肩こりと言ってもいろいろなタイプがあります。肩こりは基本的に、肩に力が入った状態が長時間続くことで起こりますが、体質によってその原因が異なるので、治療法は同じではありません。

間違った治療をすれば、もっとひどくなることもあります。以下に、鍼灸師の視点から見た肩こりを、大きく3つのタイプに分けてご説明します。

3つのタイプの肩こり

肩こりには大きく分けて次の3つのタイプがあります。それは、気滞タイプ、冷え・瘀血タイプ、虚弱タイプの3つです。

気滞タイプの肩こり

気滞とは『気が滞った状態』のこと。

身体にエネルギーはありますが、ストレスなどで流れがとこ通ってコリを生じています。これはストレスや過度の緊張、自律神経のアンバランスが起こっている状態です。肩がバリバリに凝るような症状を感じることが多く、揉むと楽になります。首から背中にかけて広範囲に凝るのも気滞タイプの特徴です。

気滞タイプの肩こりは、他のタイプと比較して浅い部分にコリがあります。つまり身体の表面で気の滞りがあるのです。このタイプの肩こりは、滞りを鍼やお灸で「散らす」ことで、スッと楽になります。

自覚している症状は激しいこのが多いのですが、比較的改善しやすい肩こりです。ただし、気の流れが滞る原因が日常生活の中にあるため、完全に解消するためには生活の見直しが必要なことが少なくありません。治療後はしばらく楽でも、また元に戻ってきてしまうことが多いのも、このタイプの肩こりです。

冷え、瘀血タイプの肩こり

冷えや瘀血は、慢性的に血液循環が悪くなった状態を言います。このタイプの肩こりは、体質的な問題があって血液循環がわるい状態が続くことで生じます。

寒さに弱く、コリは鈍痛を伴うことが多い。気滞タイプの肩こりほど広範囲に生じることは少なく、いつもどこか一部分が重く痛むような凝り方をします。その部分に疲労がたまり、血液循環が停滞し、筋肉が深いところまで硬直している状態があります。

冷え、瘀血タイプの肩こりは、凝り固まった深い筋肉を探り出し、緩めることで治療を行います。深い筋肉の慢性的な緊張を緩めるには、深部のコリまで直接届く鍼がとても有効です。冷えが強いようであれば、鍼に加えてお灸で温熱刺激を加えます。深い部分の筋肉の緊張がほぐれ、血流が動き出すと瘀血が解消し、痛みなどの辛い症状も消えます。

このタイプも鍼灸で改善しやすい肩こりですが、慢性的な血液循環の悪さを治すことが根本的な治療になります。症状の出ている部分だけではだめで、全身的な体質改善が必要となります。

虚弱タイプの肩こり

このタイプの肩こりは、筋肉が細く、体力が少ない人に見られます。コリをいつも感じていますが、肩の筋肉は触ってもあまり固くありません。このタイプは体力がないので、首や肩の筋肉がすぐに疲労してしまいます。それで、いつもコリや疲れを感じている状態です。

虚弱タイプの肩こりは、強く揉んではいけません。そもそも筋肉が弱いので、強く揉むと痛めてしまうからです。ご本人の実感としても、マッサージが効きにくいと感じていることが多いようです。マッサージであれば、オイルマッサージのようなソフトな刺激が適しています。このような肩こりの状態になる背景には、慢性的な運動不足と栄養不足があります。女性であれば、重度の貧血状態の人が少なくありません。

虚弱タイプの肩こりは、優しい刺激でほぐしてあげる必要があります。なぜかというと、体力がないので、強い刺激には耐えられないからです。強く揉んだりすると後でもみ返しが来ますし、繰り返せば症状がさらに慢性化してしまうでしょう。虚弱タイプの肩こりには、優しい鍼と温めることでコリをほぐし、当面の辛さを改善します。それと同時に、栄養不足の解消が必要なので、胃腸の働きを活発にする治療を行います。そして、日々の食生活を確認し、無理のないやり方で栄養状態を改善する努力が継続的に必要となります。

完治には体質の改善が必要

このように、肩こりには大きく3つのタイプがあり、それぞれに合わせた適切な治療が必要となりますし、日常生活で気を付けることも変わってきます。治療を受けるなら、その点を理解している治療家を選ぶと良いでしょう。

そして、どの肩こりにも共通しているのは、その背景に長年かけてできた体質があるということ。肩こりを一時的に緩めて、症状を緩和することは難しくないのですが、完治させようと思ったら体質の改善が必要となります。

鍼灸院には即効性を求めて来院される方が多いのですが、本当に身体を良くして行くためには、この点を理解していただく必要があります。

どこに行っても治らず、長年肩こりに悩んでる方は、ぜひ一度ご相談ください。