胃に効くツボ 足三里

細い山道

足三里 (あしさんり)

足三里という有名なツボがあるのですが、有名だと思っているのは鍼灸師だけなのかもしれませんね。意外と知らない人が多いので。

このツボ、知っているととても役立つ、あるいみ万能のツボです。

先日、NHKで鍼灸の特集が放映され、アフリカでお灸を使ったエイズ予防のことが取り上げられていました。この時に使われていたツボも足三里で、ここに艾(もぐさ)を直接もやす点灸(てんきゅう)というお灸をすえて、免疫力を高め、エイズ予防に効果をあげているということでした。

足三里は、鍼灸師の間でも頻繁に使われていて、いろんな効果があるツボです。

代表的な効果をざっと挙げてみます。

  • 胃の働きを高める
  • 気の流れをよくする
  • 血液循環をよくする
  • 免疫力を高める
  • 気持ちを落ち着ける
  • のぼせを解消して、気を引き下げる
  • 腎臓の働きを高める
  • 足の疲れをとる
  • 足の冷えを解消する
  • 足の浮腫みを解消する

などなど。時と場合によって、いろいろな目的で足三里を使っています。

このツボ、鍼灸師じゃなくてもだれでも覚えて使えるので、場所や使い方を知っておくと便利。というわけで、今日は足三里について、ツボの探し方、使い方、効用をまとめてみます。

松尾芭蕉もやっていた

昔、長い距離を歩く旅人は、足三里にお灸をすえました。俳句で有名な松尾芭蕉もやっていたようで、文章が残っています。

昔から『ここにお灸をすえたらあと三里(約12㎞)歩ける』などと言われていましたが、確かに長時間歩くと酷使するところですから、血行が良くなって疲れが抜け、足が軽くなるのでしょうね。でも本当は、それに加えて、旅先で『胃腸を整える』という重要な目的があったようです。

足三里は、胃腸を元気にするツボです。芭蕉の生きていた時代、旅先での食あたり、水あたりは命にかかわることでしたから「旅先では足三里の灸を欠かすな」「三里に灸しない者と一緒に旅するな」などと言って、重要視していたそうです。

気血の流れを良くする

足三里に鍼やお灸をすると、敏感な人はパーっと身体が暖かくなるのを感じます。

足三里の効用は、血行を良くして、疲れを解消し、気力・体力を高めること。足の疲れを取るほか、胃の働きを高めたり、自律神経の働きを整えたりできると言われています。

基本的には『気血の流れ』を良くしてくれるツボなんです。そもそも『ツボ』と呼ばれるポイントは、気の流れ、血液や体液の流れを良くして整えるためのポイントなんですが、中でも足三里を使うと即効的に血行が良くなってくるんです。

胃に効くツボ

また足三里は、胃の働きを高める代表的なツボです。足三里は『足の陽明胃経(いのようめいいけい)』と呼ばれる経絡の上にあります。この経絡はふつう『胃経(いけい)』と呼ばれていますが、胃とつながっている経絡だと考えていいでしょう。

経絡っていうのは『気の通り道』のこと。気血の流れ、まぁ、血行が良くなると思ってください。血行は、急激に良くなりすぎるとのぼせてしまうこともありますが、足三里の素晴らしさは、血行を良くするツボであると同時に気を下げる、つまりのぼせを鎮めるツボでもあることです。

だから『効きすぎて落ち着かなくなる』っていうようなことが少ない、安全で使いやすいツボなんです。そのせいもあってか、私が卒業した鍼灸師の養成校では、鍼を刺す練習を足三里から始めていました。

足三里の場所は?

それでは足三里の、ツボの取り方をご説明します。足三里があるのはひざのお皿の下、すねの骨の外側です。

 

指を4本そろえて、人差し指をひざのお皿の下に当てます。この時に小指が当たる高さ、すねの太い骨の外側にあります。この辺を強く押えると、奥の方でズーンとひびく感じがします。しなかったらちょっとずらして、響く場所を探してください。これが足三里のツボです。

では、実際にやてみましょう。手っ取り早く、指で押してみてください。ツボを指で押す時は、ゴリゴリと横に切ってはいけません。そういうことすると、すじを痛めてしまいます。

良い押し方は、左右の親指を重ねて、ツボに当て、ぐーっと垂直に圧力をかけていきます。残りの指で足をふくらはぎ側から、軽く掴むようにすると力が入りやすいです。

握力だけでやろうとせずに、上体を少し前のめりに倒して、体重を乗せるとラクです。うまくツボに入ると、足の指のほうまでズーンと響きます。そうしたら、5秒くらい持続的に圧力をかけて、そのあとでゆっくり力を抜きます。これを、数回繰り返すと良いでしょう。

滞っていた血液が流れ始めて、筋肉の緊張がゆるみ、気の通りも良くなります。胃や腸の筋肉もこの刺激を感じて、活発に動き始めるんです。

足三里にお灸してみる

お灸したことありますか?お灸は手軽で効果的なセルフケアとして、とても役立つものです。

一昔前までは西洋医学も、国民皆保険制度もありませんでした。医者は漢方医であり、薬は高価なものでした。その頃、庶民はちょっとした体調不良なら、自分でお灸して治していたんです。

私が鍼灸学校に通いはじめて、まず感動したのがお灸の効果でした。『え!こんなに効くの!すごいな!!』って素直に思いました。でも、その時にやったことは、、そんなに難しいことじゃありません。入学したばかりの頃に体験した、教わればすぐにできるようなことでした。

お灸はだいたい、しっかり熱を透した方が効果あります。でも初めての人は無理をせず、千年灸などの簡単なお灸を試してみてください。

じわーっとあったかくて気持ちいいです。

お灸にはいろんな種類があるのですが、当院ではご自宅で使ってもらうために、せんねん灸のレギュラータイプを院内販売しています。薬局やネットでも買えますから、ぜひ試してみてください。